【米国社会フォーラム】「コチャバンバ合意」を気候変動交渉プロセスに盛り込むことを要求する

この文書は、2010年6月にデトロイトで開催された米国社会フォーラムにおいて採択された声明である。世界の社会運動は、気候変動交渉のプロセスに、今年4月にボリビアコチャバンバで行われた「気候変動とマザーアースの権利に関する世界民衆会議(コチャバンバ会議)」において採択された「コチャバンバ合意」を盛り込むことを要求している。そのことがはっきりとわかる資料である。なお、本資料の翻訳は熊本の柿本えり子さんによる。



(写真:コチャバンバ会議の会場の様子。2010年4月、コチャバンバ郊外ティキパヤ)


原文は以下参照

The US Social Forum demanding to incorporate at negotiations process the proposal the World People´s Conference on Climate Change at negotiations on climate change

http://pwccc.wordpress.com/2010/06/30/the-us-social-forum-demanding-to-incorporate-at-negotiations-process-the-proposal-the-world-people%c2%b4s-conference-on-climate-change-at-negotiations-on-climate-change/



以下からこの声明のワード文書をダウンロード可能です
コチャバンバ会議を支持する米国社会フォーラム.doc 直



米国社会フォーラムは、気候変動に関する交渉において、
気候変動に関する世界民衆の会議を交渉過程に盛り込むことを求める

2010年6月30日 ニュース


(写真:2010年6月に米デトロイトで開催された米国社会フォーラム会場の様子)


米社会フォーラムの「生態学的正義を求める民衆の会議」(Ecojustice Peoples Movement Assembly)が、デトロイトでちょうど終了した。北米全体の様々な社会運動からの参加者としての人々が、北アメリ連邦政府、国連気候変動の交渉が、包括的で透明性があり、平等であり、かつ「気候変動と母なる地球の権利に関する世界民衆会議」(World People’s Conference on Climate Change and the Rights of Mother Earth)が提示する提案を組み入れることを求めて、母なる地球に対する世界民衆の運動に参加した。


本フォーラムは、また、お互いに母なる地球と協調し、「健全な生活をする」ことを支援する。また、「コチャバンバの民衆合意」と「母なる地球の権利に関する宣言」を受け入れるための過程と結論を支持する。

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米社会フォーラムは、デトロイトで終了した。5日間で、労働、環境、社会正義、平和運動関係者(その他大勢)ら15,000人が、「もう一つの世界は可能だ。もう一つのアメリカは可能だ」のバナーのもと結集した。私が最も感動したUSSFの部分は「環境正義民衆運動会議」(Ecojustice People’s Movement Assembly)であり、これにより草の根の環境と気候正義グループの代表らは、共通の利害と求めて結集し、この国の環境運動を基盤にして断固とした正義の種をまいている。先住民、湾岸地域の人々、アパラチア地方の人々、この地球上で石油戦争の最前線にいるスラム街に住む人々や、その支持者たちが結集し、次の声明文を作成した。これは、私にとっては、清潔で、正義のある将来のための闘いに前進する非常に心高まる第一歩であった。私たちの運動は、ここに述べられている原則とうまく調整されたものである。


米社会フォーラムの「環境正義民衆運動会議」の宣言



企業支配の工業生産と土地、水、土壌、空気、労働、生活の搾取による、環境、経済、社会危機に対応するため、北アメリカ全土の多様な社会運動の参加者として、私たちはその闘争を高く評価し、デトロイトの人々の回復力には強く励まされる。デトロイトは、不可欠の好景気の波と、資本主義がコミュニティーに対して負わせた階級、人種、ジェンダー抑圧を示す典型である。しかし、この街は、米国全体のコミュニティーに対して希望の光でもある。

デトロイトは将来に向けて開かれた窓である。この窓から、活気ある深く根ざした草の根、正義の民主的コミュニティーの生き生きとしたヴィジョンが見える。デトロイトの、石油精製所、石炭発電所、世界最大のごみ焼却施設など企業による汚染へのコミュニティーの抵抗は、今なお地球破壊に対抗する前線である。一方、略奪的貸付、水の民営化、刑務所や警察の蛮行など、民営化戦略への抵抗は、コミュニティーの庭、企業経済、自由学校、変革の正義などの強力な回復モデルに匹敵する。デトロイトは、私たちが求める持続可能なコミュニティーへの公正な変革のモデルである。そのコミュニティーにおいて、環境破壊や健康被害をもたらす搾取的な仕事は、私たち自身が利益を受け意義ある仕事にとってかわり、労働や資源は生命体として再生する。

本日、デトロイトの人々と共ここに立ち、北米と世界中のその他の前線にあるコミュニティーと連帯している。米社会フォーラムで結集し、トロントG20サミットの抗議者たちと連帯している。その一方、メキシコ湾はBPによって生じた地球の海底の傷口からの石油噴出は現在も継続し、推計量は1日あたり100万ガロン以上と言われる。湾岸地域コミュニティーは、石油経済の計り知れない影響から生き残らなければならない。カナダのタールサンドの石油採掘の前線にある先住民コミュニティーリッチモンドシェブロン精製所に対抗して闘っているラオス系、ラテン系、アフリカ系アメリカ人コミュニティー、山頂炭鉱撤退に対して闘っているアパラチア地方の貧しい白人のコミュニティー天然ガス採掘に反対して闘っているコミュニティーなど、私たちの土地、空気、水、家計の支配を回収するために、湾岸地域の人々とここに連帯する。

私たちは、気候汚染、企業による誤った解決策を中止することを求める!また、ハリケーンカトリーナの生存者たちの権利が回復し、コミュニティーを再建し、健康な湿地体が回復することを求める。私たち移住者の多くは、老いも若きも、社会経済的力、生態学的影響、帝国主義戦争によって権利を奪われ、強制移住させられ、故郷を去り、北米に移住し、一方、この土地の先住民は組織的に殺されている。移住者コミュニティーは、アリゾナでは、悪徳雇用主による搾取と同様に、米全土と連帯する警察−ICE (police-ICE)、SB 1070(*不法移民の規制を目的とする新たな移民法)で明示されているように増加する犯罪化に直面している。移住者コミュニティーは、米国とカナダの双方における前線コミュニティーであり、歴史的、気候不安定による歴史的影響、また将来の影響から、破壊されている生態的多様性に直面している。

2010年「気候変動による気候移住者作業グループに関する民衆の世界会議」(People’s World Conference on Climate Change’s Climate Migrants Work Group)の成果、特に、自由に移動への要求、住居を保有する権利、力で移転されられない権利を再確認する。また、人種差別と恐怖によって「green the hate」を行おうとする移民排斥の勢力と同じく、気候変動の根本原因を公表せず、移民を法で処罰する法律を非難する。また、場を奪われたコミュニティーに反対する不正を是正し、移住民が直面する生態的状態に対処する法的、および政府の行動を非難する。

私たちは、2010年4月コチャバンバボリビア)での、「気候変動と母なる地球の権利に関する世界民衆会議」において、社会運動、先住民、国際市民社会によって合意された、コチャバンバの民衆の合意と母なる地球の権利宣言を受け入れるために、社会運動に根差した過程、結論、北米への呼びかけを支援する。また、私たちは、北米連邦政府と国連気象変動交渉が、包括的で、透明性を持ち、平等で、かつすでに知っているように、気候危機に対する真の解決策を見つけ、人類と母なる大地を守るために、「気候変動と母なる地球の権利に関する世界民衆会議」で示された提案を含めるよう求め、母なる地球に対する世界的民衆の運動に参加する。

私たちは、世界の気温を2℃以上上昇させ、すべての生命種を危機にさらす、コペンバーゲン合意などの国際的気候交渉を弱体化させ、損わさせている米国とカナダの動きに対して非難し、それを拒否する。私たちは、制限なき成長、支配、搾取の経済体系に基づいた「より良い生活」よりもむしろお互いにまた母なる地球と協調して「健全な生活」ことによってのみ、この地球上の人々が生き残りのみならず、繁栄することが出来るとする決定を支援する。

従って、私たちは、国際的民衆法廷の動き、自由、自己決定、威厳に対するすべての民衆と共に、以下のことを求めて闘う。

1)地下の化石燃料を保存する。化石燃料廃止の第1段階として、新たな石油、ガス、石炭、タールサンド採取を一次停止するよう求める。化石燃料、採鉱、植物燃料、大規模ダム、廃棄物焼却、核エネルギーを廃止しなければならない。これらすべての資源集約的エネルギー体系は、コミュニティーと母なる地球自身の生命維持体系を危うくしている。さらに、私たち−前線のコミュニティーと労働者−は、気候汚染産業を解体し、企業による私たちの経済支配に終止符を打つことに向けて移転する方向を示している。

2)誤った解決策は中止。通常のビジネスを中止する−炭素市場、カーボンオフセット、またはREDDプログラムなどの先住民の土地、農業、森林の保護に関連するオフセットなどによる大気または人々の権利は商品化しない。根本原因を明らかにせず、既存の不適切性や環境問題を深刻化させている「クリーン」石炭、天然ガス、原始力、バイオマスや廃棄物の焼却、埋立地ガスエネルギー、地球工学、産業植物燃料、その他の企業の技術処理を拒否する。

3)真の効果的な解決策。私たちのコミュニティーは、土地、食料、水、労働、エネルギー、意思決定に関する支配権を取り戻す。先住民に関する言及なし。私たちは、先住民の主権に対して闘う。私たちは、一般参加型予算編成に対するインフラ、公共輸送、地域食料体系、地域の流域と湿地の管理、労働者の共同事業開発、生活場所に対応する地域経済に対する投資を求める。

4)経済債務の迅速な削減とそれに対する補償。私たちはすべての産業の「発展した」国の責任を負い、国を支配する企業の責任を負う。また、北米連邦政府に対して、2050年までにゼロエミッション経済に向けた取り組み、さらに地域および世界の気候債務、環境債務の責任を取ることを求める

5)コチャバンバ合意と母なる地球の権利の尊重。北米連邦政府および国連に関与するすべての政府対して、コチャバンバ合意の提言を取り入れ、母なる地球の権利宣言を実施するよう求める。

6)犯罪化、軍事化ではなく変換。アリゾナ州の警察−ICE (police-ICE)、SB 1070、家宅捜査、増加する国境の軍事化、ヨーロッパ要塞、その他多くの非人道的で不公正な政策に明言されるように、政府が、北米や世界中の黒人、アラブ人、移住者、その他のコミュニティーを犯罪化することを拒否する。ヒーラー、カウンセラー、仲裁者、まとめ役、組織者、バス運転手、自転車整備工、解体および建築作業員、(循環型)廃棄物作業員など−コミュニティーを転換するため役割に完全雇用されることを求める。

本日、北米社会運動が、私たちの町の失業は住宅危機、空気、水、土壌、気候、生態系の毒物汚染、コミュニティーの移転と犯罪化の根本原因は同じであるとしてここに明らかに一体化することを求める。その根本的な原因−資本主義、帝国主義、それを保持する抑圧体系−は同じであり、人の生命を保持する地球の能力を危機にさらしている。私たちは、前線コミュニティーの草の根グループは、環境活動家、政策提言者、芸術家、ヒーラーらと共に、全世界的危機に対するまさに決意に対する主なリーダーシップを提供する運動においてさらに新たは運動を形成している。

私たちの運動が次の活動を行うことを求めている。

−土曜日にコバンタ(Covanta)ごみ焼却施設で実施する活動にデトロイトの人々とともに、マラソンMarathon)、DTE等の現地汚染企業に反対する現在進行中の活動を支援する。

カンクンの動員と同じように、7月29日に実施する、SB1070、国境の軍事化、その他の抑圧的施行手段に反対するアリゾナの人々を支援する。

−ハリケーンカトリーナの5周年記念に、8月29日の湾岸居住者を連帯して行動を調整する。

・連合ホウマ国の主権に対する連邦政府による承認を要求する。

・BP、シェブロン、その他の低質燃料産業に抗議して国全体で行動を起こす。

・湿地帯の保護と再建、湾岸諸国居住者の復帰と再建の権利を求める。

−9月27日ワシントンDCで行う、山頂とすべての露天採鉱を廃止する大衆動員、

アパラチア暴動を支援する。

カンクンにおける11月29日から12月10日における、UNFCCCの COP 16に影響を与えるため、戦略を練り北米全体で結集する。