【世界民衆運動の表明】気候変動交渉には人々の声(コチャバンバ合意)が反映されなければならない

世界の社会運動は、気候変動交渉のプロセスに、今年4月にボリビアコチャバンバで行われた「気候変動とマザーアースの権利に関する世界民衆会議(コチャバンバ会議)」において採択された「コチャバンバ合意」を盛り込むことを要求している。そのことがはっきりとわかる資料である。なお、本資料の翻訳は熊本の柿本えり子さんによる。



(写真:コチャバンバ会議の会場の様子。2010年4月、コチャバンバ郊外ティキパヤ)


原文は以下を参照
Pronouncement of the World People’s Movement
http://pwccc.wordpress.com/2010/05/31/world-pronouncement-of-the-peoples/


以下からこの声明のワード文書をダウンロード可能です
世界民衆運動の表明.doc 直


世界民衆運動の表明
2010年5月31日 ニュース


気候変動交渉には人々の声が反映されなければならない
公式のUNFCCC交渉文書は、世界民衆会議の解決を無視している


2010年4月、ボリビアコチャバンバに140カ国から35,000人が集結し、気候変動への代替策を反映した合意に基づく文書である歴史的なコチャンバ民衆の合意を策定した。私たちは、署名された組織として、この歴史的過程に参加、支援の双方、またはそのいずれかを行った。ボリビア多民族国は、地球市民社会の声と17の作業グループの合意を反映し、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)の下で「長期的協力の行動のための特別作業部会」(AWG-LCAAd Hoc Working Group on Long-term Cooperative Action)に向けて、コチャバンバの人々の合意の核を成す公式提言を行った。その後、この合意は「アメリカ民衆のためのボリバール連合」(ALBA :Bolivarian Alliance of Our Americas) 、「南米諸国連合」(UNASUR :Union of South American Nations)などの団体や様々の諸国の支援の承認を受けた。


私たちは、従って、気候変動交渉の基盤としてAWG-LCAで提言された新たな文章に、コチャバンバで合意した主要な結論が反映されていないことを深く懸念する。これに反し、AWG-LCAの議長および副議長(ジンバブエ、米国)は、国連合意さえ取り付けられていないコペンバーゲン合意の提言をすべて盛り込んでいる。


私たちは、コチャバンバで社会運動、先住民、国際市民社会による合意を受け入れるようUNFCCCに対して要請する。特別提言が、交渉から除外されることは非民主的かつ透明性がなく、さらに、国連が、緊急に人類に対する重大な問題に関して国際社会に耳を傾けることが必要である。


私たちは、国連のすべての諸国、特にAWG-LCAの議長および副議長が、カンクンに向けた交渉で、コチャバンバの人々の合意の核となる結論を含めるよう求める。生命と地球を守る提言については、以下に示す。


1.京都議定書に基づき、2013年から2017年までの先進諸国による国内および市場メカニズムに依存せず、温室効果ガス排出の50%を削減する。

2.温室効果ガスの濃度を300ppmで安定させることを目標とする。

3.自然との調和を回復するために、母なる地球の権利宣言の提言過程を検討することが必要である。

4.途上国および母なる地球が負っている気候債務を引き受けるのは先進国の義務である。

5.先進国は、気候変動危機に取り組むためにGDPの6%に等しい財源を提供する。

6.国の主権、権利の保証、先住民の参加、森林に依存するコミュニティーを尊重し、炭素市場体制に基づかない、レッドプラス(REDD-plus)とは異なる森の統合管理および保全に対するメカニズムを構築する。

7.先住民の権利を認識する手段を実施することが、「先住民族の権利に関する国際連合宣言」および適切な普遍的な人権の手段と合意に従って保証されなければならない。これには、自由な事前の情報に基づく合意に基づいた、土地、領域、資源を保有する権利、完全で効果的な参加など、先住民の知識と権利を尊重することが含まれる。

8.環境的に持続可能で、かつ食料主権および先住民と小規模農家の権利を保証する農業生産モデルを奨励する。

9.強制的環境移住者の権利と必要を保護し、受け入れる。

10.「気候と環境に関する国際裁判所」(International Climate and Environmental Justice Tribunal)の設立を促進する。

11.人類および母なる地球にとって極めて重要な問題について実施することが出来る、「気候変動に関する世界住民投票」(World Referendum on Climate Change)を検討する。


私たちは、生命と母なる地球を守る「気候変動と母なる地球の権利に関する世界民衆会議」(World People’s Conference on Climate Change and the Rights of Mother Earth)による結論が、2010年3月31日から6月11日までボン(ドイツ)で開催される交渉の交渉文に含まれるよう求める。


もし、AWG-LCA交渉文において、交渉で示すべき世界の人々の声が無視されるなら、気候の危機の緊急性に対して平等で透明性のある、包括的な交渉過程も、また解決策もありえない。