【転載/ギリシャ債務危機】ギリシャの危機の背景(CADTMのウェブより)−IMFによる緊縮政策以外に「もうひとつの解決策」はある!
(写真:ギリシャ財務省ビルの壁面に書かれた「IMF(国際通貨基金)は出て行け!」)
以下、債務問題関係のMLに流されたATTAC関西グループの喜多幡佳秀さんによるギリシャ債務危機に関する翻訳を転載します(「転送・転載自由」とありますので)。
原文(英語)は以下のCADTM(第三世界債務廃絶委員会)のHPに掲載されています。
The meaning of the Greek crisis
3 April by Pascal Franchet
http://www.cadtm.org/The-meaning-of-the-Greek-crisis
ギリシャ債務危機に関してはATTAC Japan(首都圏)のブログにも次の関連記事が掲載されています。
悲劇、民衆の怒りの爆発、弾圧
ギリシャを暗闇の中に押し込めるIMF
ヤヌス・アルムパニス
http://attaction.seesaa.net/article/149411369.html
5・5 パリでのギリシャ労働者連帯行動
http://attaction.seesaa.net/article/149057228.html
デフォルトの危機にあるギリシャから
ヤヌス・アルムパニス
http://attaction.seesaa.net/article/148223377.html
またCADTMのウェブサイトには英文ですが、ギリシャ債務危機に関する最新情勢やIMF(国際通貨基金)の押し付ける民衆生活を犠牲にした緊縮政策ではない「もうひとつの解決策」
に関する論考が次々に掲載されつつあります。
世界社会フォーラム国際評議会による「金融市場と闘うギリシャ人民への連帯」声明
Solidarity with the Greek people against financial markets
8 May by WSF International Council
http://www.cadtm.org/Solidarity-with-the-Greek-people
CADTMインターナショナルによるプレスリリース
「債権者の独裁に対するギリシャ人民の抵抗運動を支持する」
Press release
Support to the Greek people’s resistance against the dictatorship of creditors !
5 May by CADTM international
http://www.cadtm.org/Support-to-the-Greek-people-s
(写真:IMFの押し付ける緊縮政策に怒りを爆発させるギリシャ民衆)
(以下、転載)
CADTM(第三世界債務帳消し運動)のウェブに掲載されている「ギリシャ危機の意味」パスカル・フランチェット(Pascal Franchet)の日本語訳です。
4月3日付なのでEUの救済計画や5月5日のゼネストよりも前に書かれたものです。
長文のため、PDFで添付しています。転送・転載自由です。
以下から翻訳全文をダウンロードできます↓
「ギリシャ危機の意味」.pdf
以下は抜粋です。
この間、ギリシャの危機について言われてきたは、次の5つに要約される。
1 ギリシャは不正を行って、「持続不能」な公的債務を隠蔽してきた。
2 ギリシャは、他のいくつかのユーロ圏の諸国と同様に、債務不履行の寸前である。
3 EUは緊縮政策の採用を支持するだけでなく、それを積極的に提案し、地中海諸国を信
託統治下に置くしかない。?
4 ギリシャは財政赤字を削減するために緊縮政策を採用しなければならない。
5 「先進国」の危機は、同様の緊縮政策が広範に採用されなければならないことを意味し
ている。
(写真:パルテノン神殿を占拠したデモ隊「欧州の人民よ、起ち上がれ!」)
しかし、
1 「ギリシャは不正を行って、「持続不能」な公的債務を隠蔽してきた」
それは明らかだ。
しかし、ユーロ圏の中でそのようなことをしている国はギリシャだけではない。
ギリシャの財政赤字は、他の国と比較してみれば、パニックを起こすほどのものではない。
欧州委員会はギリシャ政府による財政状態の報告がでたらめなことは知っていたが、ユーロ圏に参加させるために黙認した。これにはゴールドマンサックスが関与している。
2001年にギリシャのユーロ圏参加を最も強く支持したのはフランスとドイツである。フランスはギリシャに対する2番目の武器輸出国である。また、現在ギリシャの債務の80%はドイツとフランスの銀行が債権者である。
2 「ギリシャは、他のいくつかのユーロ圏の諸国と同様に、債務不履行の寸前である」
このメッセージの第1の目的は金利(リスク・プレミアム)を引き上げ、貸し手(ゴールドマンサックスやヘッジファンドを含む)の利益を高めることである。ギリシャが発行する国債は、金利6.40%で売買される。これはこの市場で通常期待される金利の2倍である。
この強迫的な議論の2番目の目的は、社会的サービスの後退や緊縮政策を受け入れるように世論を導くことである。しかし、別の解決策もある!
・・・緊縮政策によって実現される削減の規模は50億ユーロ程度である。しかし、別の選択肢
もある!
ギリシャはEUの中で軍事支出の対GDP比がもっとも大きい国である。
2006年に軍事支出は96億4200万ドルに達している。
ギリシャはまた、商船に対する税制上の優遇措置によって毎年60億ユーロほどの付加価値税収入を失っている。?
大企業の大部分は資産をキプロスのオフショア会社へ移転している(キプロスの法人税は10%)。
ギリシャ正教会は税を免除されている。最大の不動産所有者であるにもかかわらずである。
ギリシャの銀行は緊急救済措置の中で280億ユーロを無償で受け取った。その彼らが今、何ら罰されることなく公的債務に対して投機を仕掛けているのである。
他のヨーロッパ諸国も、緊縮政策の碾き臼にかけられるだろう。「年金改革」の提案や医療・社会保障制度の崩壊はすでにヨーロッパのすべての国で起こっている。
1つだけ確かなことは、大手の民間銀行が欧州中央銀行から非常に低い金利で手に入れた公的資金が、家計や事業活動には流れないということである。
ヨーロッパの全域で2009年に銀行の融資残高は大幅に減少した。この資金は国債やリスクの多いソブリン債に流れるだろうし、すでにそのような投機に戻ってきている。
現段階での結論と6つの提案
(関連サイト)
DemocracyNow! Japanのウエッブサイト
http://democracynow.jp/
「ギリシャ国民は欧州全土のために闘っている」:タリク・アリとマーク・ワイズブロットがギリシャの経済危機と民衆蜂起を討論(映像は英語です)
http://www.democracynow.org/2010/5/11/the_people_of_greece_are_fighting
欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)は、ギリシャの財政危機が他のユーロ圏に飛び火することを回避するため、およそ1兆ドルの一括支援策を認めました。EUのトップらがギリシャの財政破綻を食い止めるための9600億ドルの支援策を承認した5月9日、欧州、アジア、米国で株価が急騰しました。一方、IMFとEUが融資と引き換えに要求した緊縮策は、引き続き代償を強いることになりそうです。ギリシャの二大労働組合は依然として改革に反対しています。そのうちの一つの組合は声明の中で「今回の危機は公的資金を略奪した人たちによって支払われるべきだ」と述べました。5月第二週、緊縮策に反対するおよそ10万人が大規模デモと24時間のゼネストに参加しました。