【転載】 ヨーロッパにおけるトービン税:遅すぎた前進 attacフランスの声明


ヨーロッパにおけるトービン税:遅すぎた前進 attacフランスの声明
http://attaction.seesaa.net/article/230160916.html

2011年9月29日14時6分、ATTACフランス発表


 欧州委員会バローゾ委員長が金融取引税に関する指令案を欧州理事会に提出する見込みだ。これが10年前なら、我々は勝利の快哉を叫んだことだろうが、今となっては些少にすぎ、遅きに失する。

 我々が12年来掲げている提案をヨーロッパの政治家がこぞって取り上げていることは、ATTACの思想の勝利ではある。欧州委員会の提案する方式は、多くの点で我々の提案と一致する。ヨーロッパの金融事業者が関わる取引すべてに0.1%の税率を適用すれば、「高頻度トレーディング」をはじめとする極めて投機的な取引を抑え込み、多大な規制効果を上げることは論をまたない。デリバティブ商品の取引も名目価額ベースで課税対象としたことは、提案された税率が0.01%でしかないのは残念だが、やはり大きな前進にはなる。だが残念なことに、提案の射程は限定されている。為替取引市場は1日4兆ドル、つまり世界の金融取引総額の半分近くにも上るというのに、(ユーロと他の通貨の間の)為替取引課税を除外したからだ。

 集めた資金の使途については大きな疑問が残る。財政赤字を補填したり、銀行に再び見返りなしの資金注入をしたりするだけなら、効果は皆無となる。数百億ユーロと見込まれる税収は、ヨーロッパおよび世界レベルの資金源として、ヨーロッパその他の貧困や、感染症、温暖化の対策を進めるとともに、エコロジカルな移行の流れを作り出すために用いるべきだ。

 騙されはしない。ヨーロッパの指導層が我々の正しさを認めようと決意したのは、緊縮財政のロードローラーとそれに伴う不公正な政策の推進を、世論に受け入れさせやすくするためにすぎない。今この瞬間にヨーロッパでは、社会的国家に対する攻撃が、未曽有の激しさで展開されている。だが、公的債務とユーロ危機の原因は、過大な支出などではなく、金融危機および過去20年にわたる特権層向けの優遇税制にある。金融取引税を実施するだけでは、現在必要とされる富の再分配にはまったく足りない。公的資金によるヨーロッパの銀行の資本増強が取り沙汰されているタイミングで、金融取引税が発表されたことも何か臭う。金融業界自身も寄与しているという印象を与えることで、この新たな銀行救済措置に反対する民衆蜂起が起こるのを防ごうというわけだ。

 この税(しかも実施は2014年)は些少にすぎ、遅きに失する。些少にすぎるというのは、金融市場を非武装化するためには、我々が常々言ってきたように、課税ひとつで済むわけではなく、精力的な規制が必要だからだ(「つぶすには大きすぎる」銀行の解体、資本フローの統制、店頭取引の禁止、デリバティブ取引とりわけ食糧市場でのそれの厳格な制限)。遅きに失するというのは、30年にわたる放任政策によって引き起こされた金融危機が、今やものすごいことになっているからだ。もはやラジカルな解決策が避けて通れない。銀行部門は社会化して、社会の統制下に置く。公的債務を監査して、正当性のないものは否認する。欧州中央銀行を改革して、国家に直接融資できるようにする。トービン税に関して、我々は正しかった。同じく今の我々の提案がまともに受け入れられるようになるまでに、さらに10年の歳月が流れ、とんでもない危機が起きたりしないよう願いたいものだ。我々の提案は再確認されることになる。10月15日の街頭で、ヨーロッパと世界の怒れる者たちとともに、そして11月1日〜4日のニースG20対抗会合の際に。