【COP16に関するFoEインターナショナルの声明】「ボリビアの勇敢な姿勢に拍手喝采を送ります」「コチャバンバ合意は・・・大切なカウンターバランスだ!」「クライメート・ジャスティス(気候の公平性)の実現を!」


(写真:「コペンハーゲン合意ノー!ボリビアはあきらめない!」のプラカードを掲げてデモ行進する「地球の友」のデモ参加者。その後ろには「地球の友アフリカ」のバナーが)
写真掲載元:地球の友インターナショナルのサイト(以下、同じ)
http://www.foei.org/


国際環境NGO FoE Japanのサイトより
http://www.foejapan.org/climate/doc/COP16_1211.html

COP16 (メキシコ・カンクン会合)
カンクンパッケージ、決裂は避けても京都議定書を失う恐れ

2010年12月11日 メキシコ、カンクン

カンクンで開催された国連気候変動交渉は、最も重要な法的拘束力のある先進国の温室効果ガスの大幅削減についての進展をなくして合意されました。FoEインターナショナルは、この合意は京都議定書が放棄されてしまう土台を作ったことになると懸念します。コペンハーゲン合意を引き継いだプレッジ・アンド・レビュー形式は、世界の気温上昇を5度まで引き上げてしまう危険があります。

FoEインターナショナル代表のニモ・バッセイは以下のように述べます。
「このカンクン合意は、全く不十分であり、破壊的な気候変動を悪化させる可能性があります。米国やロシア、日本のような気候変動に責任を持つ先進国により、必要とされた大きな前進に失敗しました。これは気候変動の影響にすでに直面している人々に対して大きな危険をもたらすでしょう。 しかしながら、結局、志の低い少数の国々による政治的な意思決定の影響を受けるのは私たち全員なのです。」

壊滅的な気候変動を防ぐために、京都議定書の下、炭素市場、オフセット、および「抜け穴」なしで、先進国が科学に基づき少なくとも40%の排出削減する目標を含む合意が必要です。炭素市場は、気候変動の解決策にはならず、先進国の排出の継続を可能にする手段にしかなりません。

最も重要な課題の解決を先送りにしたが、「グローバル気候基金」(文書では「グリーン気候基金」)の設立などやその他の分野では進展が見られました。途上国支援のための1000億ドルが約束されました。しかし、まだ公平性に欠けニーズに沿ったものではありません。先進国には、途上国が低炭素社会を構築するため、また深刻な気候変動影響に適応できるように公的資金を拠出する義務があります。世界銀行が気候変動資金の運営に携わるのは適切ではありません。

(写真:「森林は売り物ではない!」「REDD反対!」デモ行進する「地球の友」のデモ参加者)
ルシア・オルティスFoEブラジル)は以下のように述べます。
「森林破壊を止めるためのメカニズムが、先進国の排出を許すようなものであってはなりません。森林は炭素固定のためだけにあるのではなく、市場に利用されてはならないのです。森林保全のための資金は、先進国政府から拠出されるべきです。」

ニモ・バッセイは以下のようにも述べます。
「国連は、気候変動の危機に対して人類がすべき行動を課題として残しました。ただし、多国間プロセスの前進は見られました。国連は、国家と同様に強固な存在であるべきです。気候変動に責任を持つ先進国による妨害により、カンクンでの前進は失敗しました。先進国は、京都議定書を破棄しようとしました。次の会合では、京都議定書の継続、発展をしっかりと確保できるよう、より一層の努力が必要になります。」


(写真:「コペンハーゲン合意ノー!ボリビアはあきらめない!」のプラカードを掲げてデモ行進する「地球の友」のデモ参加者)
ルシア・オルティスは以下のように述べます。
「私たちは、一貫して野心ある行動を求めて働きかけを続けたボリビアの勇敢な姿勢に拍手喝采を送ります。 ボリビアは、コチャバンバ協定の意志を携え、世界中からカンクンに集まった何千人もの市民の声に耳を傾けました。 世界中で、多くの人々がデモンストレーションに参加して、気候変動の危機の解決を要求しています。このムーブメントはカンクンでますます拡大しました。」

FoEインターナショナルは、世界が必要とする合意に達するよう、来年のダーバン会合(COP17)に向け各国政府に働きかけを続けます。


(参考サイト)

国際環境NGO FoE Japanのサイトより
http://www.foejapan.org/climate/doc/COP16_message.html


COP16 (メキシコ・カンクン会合)

FoEインターナショナルから、みなさんへのメッセージ


(写真:COP16カンクン会合に対するFoEインターナショナルのデモ行進)

メッセージ1:先進国は大幅かつオフセットに頼らない排出削減を今すぐに。オフセットは解決策ではない。

先進国は、国内排出量を早急に削減し気候変動に取り組まなければなりません。カーボン・オフセット(先進国が削減をしない代わりに途上国からカーボンクレジットを購入すること)は、気候変動と戦う公正な国際合意においては、いかなる役割も持ち得ません。
先進国政府は、気候変動対策においてオフセットは効果的でないことを知っていますが、人々に対して気候変動に対する真のアクションであるかのようにオフセットへの投資を奨励し、人々を欺こうとしています。
カーボン・オフセットは、気候にも途上国にもまったく利点がありません。いつも通りにビジネスを続けたがる先進国、民間投資家、大量汚染者のみに利益をもたらすだけです。


(写真:REDDでは無く、先住民族の権利を!「地球の友」のデモのバナー)

メッセージ2:森林を利用したカーボン・オフセットによって目をそらずに、気候変動と森林減少対策の両問題の本質的な解決策を。
森林を取引することは、気候変動に取り組む公正な国際合意において、いかなる役割も持ち得ません。森林を含めてしまってはカーボン・オフセット・イニシアティブは動きようがないし、排出量を削減し森林減少を防ぐための本質的な解決策から目をそらすことになり、生存のために森林に依存している先住民と地域コミュニティを脅かすことになります。


(FoEのデモ行進に参加する先住民族の人たち)

メッセージ3:気候変動対策の公的資金は、全て国連を通すべき。世界銀行を通してはならない。

世界銀行は、石油と天然ガスプロジェクトに資金供与する多国間最大の貸手であり、森林減少における主要な当事者です。世界銀行は、破壊的な石炭、石油、天然ガス抽出への資金拠出を停止すべきという組織内からの勧告を受け入れていません。
世界銀行は、透明性が確保されておらず民主的な組織ではないし、その意思決定は「ドナー」国に支配されています。また世界最大のカーボン・ブローカーでもあり、気候変動緩和の資金供与の世界最大のルートとなることは、利害の対立を招くでしょう。
さらに、世界銀行の気候投資基金(CIF)を含むUNFCCC外の資金拠出は、先進国が約束を果たしたと見なされるべきではありません。気候資金は、先進国の公的財源から無償資金(グラントベース)で開発援助(ODA)への新規及び追加的に拠出されなければなりません。炭素市場のいかなる関与も拒否しなければなりません。

メッセージ4:コチャバンバ合意は、国連の気候交渉で行われる非生産的な提案と不均衡な力関係に対する、大切なカウンターバランスだ。
FOEインターナショナル及び我々の仲間は、気候変動の議論において革新的な発展である「コチャバンバ人民合意」及びポスト・コチャバンバに付随するプロセスに関与しています。我々はこの合意を、(民衆及び法的な)住民投票及び裁決機関とコミュニティの権利を促進させ、否定的な提案や産業界によるロビー活動等へのカウンターバランスとなるようUNFCCC交渉における革新的な提案としてその正当性を強調するために活用しようと模索するものです。


(「クライメート・ジャスティス実現」を求める「地球の友」のデモ行進参加者。ラテンの雰囲気)

メッセージ5:クライメート・ジャスティス(気候の公平性)の実現を!

クライメート・ジャスティスは、気候変動の原因に歴史的に最も責任のある国々が、これ以上の被害を防ぐ最大の努力を行い自国内で大幅に排出量削減を行うことで達成されます。
途上国は、京都議定書の第2約束期間に法的拘束力のある排出削減義務を受け入れるべきではありません。
豊かな先進国が今日大気中にあるほとんど全ての温室効果ガスに対する責任があり、気候変動に対して最も責任があるのです。先進国は京都議定書の下での第2約束期間にコミットしなければなりません。
途上国や、脆弱なコミュニティ、脆弱な人々は気候変動の原因にほとんど貢献していないが、最も影響を受けているのです。
先進国は、途上国の持続可能な社会へ発展する権利を認めつつ、低炭素経済への移行と気候変動の影響への適応を支援する資金を提供すべきです。

メッセージ6:大企業や汚染者は、公平な気候合意に向けた交渉を弱体化させるためのロビー活動を行っている。彼らは人々と地球の利益を犠牲にして、自分たちの利益獲得を進めているのだ。

UNFCCC気候交渉には、交渉官と並び、産業界から何百人ものロビイストが参加し、世界の人々と環境のためではなく、産業界のビッグビジネスの利益を促進する合意を確保しようしています。そうした人々は、強力で公平な国際気候規制がつくられるのを妨害しようと、数百万ユーロものお金を費やしています。こうしたロビー活動は不透明であり、強力で公平な気候合意へ近づこうとする努力を損なうものです。

FoEインターナショナルがCOP16に求めることについて、詳しくはこちら(英語)をご覧ください。
http://www.foei.org/en/what-we-do/un-climate-talks/global/2010/our-climate-demands