【COP16参加各国首脳への公開書簡】 「気候変動資金に世界銀行が関与する余地はない」


The WORLD BANK OUT OF CLIMATE FINANCE CAMPAIGN
http://www.worldbankoutofclimate.org/


以下にご紹介するのは、債務と貧困を考えるジュビリー九州の大倉純子さんが翻訳された「“世銀は気候変動問題から出て行け“キャンペーン」によるCOP16参加各国首脳に対する公開書簡です。

 COP16では、「グリーン気候基金」について合意されましたが、その管理を誰が行うのか、「気候変動ファイナンスに対する世界銀行の関与」(「気候変動対策」を名目とした新たな「債務支配」)に対してはジュビリーサウスなど全世界のNGOなどから激しい抗議行動が南側諸国を中心に展開されています。


(写真:「世銀は気候変動問題から出て行け」のバナーを掲げてカンクンでデモ行進するジュビリーサウスの隊列。真ん中に見えるのが「世界銀行」と書かれたブタの貯金箱の張りぼて。2010年12月8日、カンクン


気候変動資金に世界銀行が関与する余地はない
(原文は以下のHP:No role for World Bank in climate finance)
http://www.climate-justice-now.org/no-role-for-world-bank-in-climate/

12月9日
“世銀は気候変動問題から出て行け“キャンペーン


国連気候変動枠組条約カンクン会議に参加中の政府代表に向けたオープン・レター


グローバル・サウスの人々・コミュニティは、気候変動の被害に対応し、そこからしなやかに立ち直り、新しい、これまでとは違う開発の道のりを探るために毎年何千億ドルという資金を必要としている。気候変動による過去ならびに現在生じている、そしてこれから生じるであろう被害への補償額は、もし、産業化国が公平で、化石燃料に頼らない経済システムに公正な方法で移行するのに必要な手段を取らないならば、ますます増えることになるだろう。
もし産業化国内で、化石燃料に頼らない経済に適切に移行するのに必要な措置が同様に取られなければ、産業化国が責任を負うべき気候変動被害の補償額は、過去・現在のものに加えて、将来ますます増大するのみである。


(写真:「世界銀行は気候ファイナンスから出て行け!」のプラカードを掲げるデモ参加者)
私たちは、気候変動対策の新しい追加的公的資金が、歴史的責任を果たすという原則の上に、新たな債務負担を増やすことなく、また、政策コンディショナリティなしで、すぐに利用できるようにするという責務を果たすよう、世界のリーダー達に呼びかける。

私たちは、公平な組織体制を持ち、気候変動の被害を受けたコミュニティの参加を優先させ、完全な透明性と説明責任原則の上に運営され、資金への直接アクセスの仕組みを持つ世界気候基金(Global Climate Fund)を国連気候変動枠組条約会議の元に立ち上げるよう、世界のリーダーたちに強く求める。


(写真:「世界銀行」と書かれたブタの貯金箱の張りぼて
世界銀行ならびに他の多国間開発銀行は、新しい世界気候基金の設立・運営に関わるべきではないし、気候変動対策資金の運用にも関与すべきでない。これらの銀行の性質、組織、過去の実績は、公正と効率性を原則とすべき気候変動資金や、新しく作られる基金のあるべき仕組み、運用と相容れないものである。


(写真:「世銀は気候変動問題から出て行け」のバナーを掲げてカンクンでデモ行進するジュビリーサウスの隊列。真ん中に見えるのが「世界銀行」と書かれたブタの貯金箱の張りぼて。2010年12月8日、カンクン
−世銀は融資機関であり、融資のコンディションとして借り手国政府に自分たちの望むような政策を南の国とその国民に長年に渡って押し付けてきた。世銀が気候変動対策資金の運用を握るということは、その大部分が融資として行われる結果に繋がる。またコンディショナリティがつけられる可能性が非常に高くなる。

世界銀行の運営の仕組みは非民主的であり、代表は豊かな産業化国の政府に占められている。世界気候基金の運営機関は南の国の代表が多数を占めるべきである。世界人口の多くは南の住民であり、気候変動の影響を最も受けているのも彼らだからである。


(写真と関連映像:「世界銀行は気候問題から出て行け!」とデモ参加者にボコボコにボコられる「世界銀行(ブタの貯金箱の張りぼて)」の映像。ブタの貯金箱が壊れると中からは世界中の紙幣があふれ出てくる!撮影:World Development Movement)
9 December – Video of World Bank Out launch in Cancun
WDM have made a great video of the World Bank Out of Climate Finance campaign launch in Cancun yesterday, complete with World Bank piggybank piñata.
http://www.youtube.com/watch?v=MLeGKU0FIqE&feature=player_embedded#!


気候変動の影響を受けるコミュニティの必要と権利、主権尊重と天然資源の民主的コントロール・管理を原則とする公平で持続可能な経済への移行が、気候変動対策資金に関する意思決定の中心的課題となるべきである。

世界銀行は長年、人権と生態系を軽視してきた。2010年だけとっても、世界銀行は63億ドルもの額を化石燃料プロジェクトに提供している(前年比138%増)。実質的に地球温暖化を助長させている機関が、気候変動対策資金のカギを握るべきではない。むしろ、現在行われているたくさんの誤った解決策を含むこれらの政策や業務を世銀にやめさせるべきである。


(写真:「“世銀は気候変動問題から出て行け“キャンペーン」の大バナー。2010年12月8日、カンクン
−世銀は公的利益よりも民間セクターと民間資本市場を積極的に優先させている。気候変動資金は公共の利益のために使われるべきであり、私的利益や自然の商品化の推進のために使われるべきではない。気候変動対策資金は、その調達と運用をマーケットに依存したプログラムに頼るのではなく、公的な資金として提供されるべきである。公的資金を集める革新的なツールは、化石燃料への補助金や軍事費を振り向ける、金融投機への課税など、すでに私たちの手の届くところにある。


(写真:この日、インドネシアでも行われた世界銀行ジャカルタ事務所前でのブタの貯金箱による抗議行動)
私たちは、世界銀行ならびに他の多国間銀行を新しい世界気候基金ならびに気候変動対策資金に関与させないよう、世界の政府に要求する。


署名

国際組織ならびにネットワーク

350.org
ActionAid
Friends of the Earth International
Global Anti-Incinerator Alliance (GAIA)
Grassroots International
International Federation of Hawkers and Urban Poor
International Trade Union Confederation (ITUC)
International Youth and Student Movement for the United Nations (ISMUN)
Jubilee South
LDC Watch
Marianists International
NGO Jeunes Volontaires pour l’ Environnement-International
Oil Change International
People’s Health Movement
Society for Threatened Peoples International
Transnational Institute

Country Organizations & Networks

(日本のみ)

JAPAN

ATTAC:Japan
Jubilee Kansai Network:Japan


(この日、インドネシアジャカルタでも「反債務連合」(KAU)などによる世界銀行ジャカルタ事務所への抗議行動が行われた)