【転載記事】エボ・モラレス、「気候変動とマザーアース(母なる地球)の権利に関する世界民衆会議」@コチャバンバ開催を提唱


(写真:「気候変動とマザーアース(母なる地球)の権利に関する世界民衆会議」のバナー。モラレス大統領を中心に「気候債務」「クライメート・ジャスティス」などのプラカードが並ぶ。多色旗は先住民族の旗)
出所:Conferencia Mundial de los Pueblos sobre el Cambio Climático y los Derechos de la Madre Tierra Bolivia http://cmpcc.org/

(写真〔左〕:COP15の会場で「マザーアース(母なる大地)の権利」を主張するエボ・モラレス大統領)


 ボリビアエボ・モラレス大統領は4月のアースデーに合わせて、ボリビアコチャバンバ市(「水戦争」で有名な)で「気候変動とマザーアース(母なる地球)の権利に関する世界民衆会議」を開催することを呼びかけている。

 「マザーアースの権利」という概念は、1948年12月10日の第3回国連総会で採択された国連の世界人権宣言(Universal Declaration of Human Rights)が普遍的な基本的人権を全人類に保障しているように、地球(自然)にも人類同様に権利があるという視点から、その権利を認めよう(国連で「マザーアースの権利」世界宣言を採択しよう)というもので、ボリビアエボ・モラレス大統領が提唱している考え方である。

 「気候債務(の返済)」や「クライメート・ジャスティス」という概念を北側諸国が認めるか否かにCOP16の成功がかかっているといっても過言ではない中で(北側が現在の特権的な地位や「不公正なシステム」に固執するかぎり、気候変動に関する南北間の国際合意は不可能である中で)、「マザーアース(母なる地球)の権利」を主題とする今回の会議は、気候変動問題解決に向けて世界史的な重要性を持つものであると言えよう。

 ボリビア政府は全世界の192カ国に対して代表団を送るよう招待しており、国連開発計画とも緊密に協力しながら低開発国49カ国からの代表団を受け入れ、北側からもスペイン、ロシア、フランス各国政府が代表団を送る意向を示している。この民衆会議は、世界の50カ国からの代表団を含む1万人の参加者が予想される歴史的な会議となるだろう。インドのバンダナ・シバや国連総会前議長のミゲル・デスコトなども参加する。日本政府に対してこの歴史的な会議に代表団を送るよう要請する市民の声が求められている。



「気候変動とマザーアース(母なる地球)の権利に関する世界民衆会議」HP(英文)
World People's Conference on Climate Change and the Rights of Mother Earth
Cochabamba, Bolivia, April 19 to 22, 2010
http://pwccc.wordpress.com/


(参考サイト:関連記事)
「NI & NIジャパン最新号のご案内」より
http://www.ni-japan.com/jbody.htm

14 今月のフォーカス(NI p22-23の要約)
●南米発:母なる大地の権利尊重の動き
ボリビアコチャバンバでは4月19日から22日まで、コペンハーゲンで行われたCOP15とは全く異なる気候変動対策会議が開催される。この新たなグローバルサミット「気候変動と母なる大地の権利に関する世界民衆会議」は、ボリビアエボ・モラレス大統領の呼びかけで始まったものだ。その動きからは、一筋の希望が見えてくる。

原文(英語)は以下のサイトを参照
To live...
New hope for international action on global warming has come from Bolivia, where President Evo Morales is convening a People’s World Conference on Climate Change. Vanessa Baird reports on a multifaceted initiative.
http://www.newint.org/features/special/2010/03/01/peoples-summit/



ジュビリー九州の大倉純子さんのブログ「カネなら返さん」より一部抜粋(全文は下記URL参照)
http://writeoff.blog.shinobi.jp/Entry/43/
世界民衆会議のHPにもShouseijou(招請状?)として日本語訳が載せられていました(文章が切れずに続き少し読みにくい)
http://pwccc.wordpress.com/2010/01/07/292/



エボ・モラレス
「気候変動とマザーアース(母なる地球)の権利に関する世界民衆会議」
開催を提唱



今日、多くの人が知るように、気候変動が人類・すべての生物の存在、そして私たちのマザーアースそのものに対する真の脅威となっていることを深く憂慮する。

(中略)

これまで排出された温室効果ガスの75%は、無法図な工業化の結果、北の諸国からもたらされたものであることを確認し、

気候変動は資本主義システムの産物であることを指摘したい。

“先進国”と呼ばれる国々によりコペンハーゲン会議が失敗に終わったことを遺憾に思う。これら"先進国“は彼らが途上国、将来の世代、そしてマザーアースに対して負う”気候債務“の責任を認めなかった。

21世紀における人権を全うするには、マザーアースの権利を認識し、尊重することが必要不可欠であることをここに再確認したい。

私たちは気候正義を求めて闘わなくてはならない。

そしてこれ以上の人類、そしてマザーアースの被害、苦痛を避け、自然との調和を保つためには緊急の行動が必要であることを深く認識する。

世界の人々は、連帯、正義、生命の尊重という原則に基づき、人類、そしてマザーアースを救う力があると確信する。

よってボリビア多民族国家政府は、国際マザーアースデーを祝して、世界の人々、社会運動、マザーアースを擁護するグループに呼びかけ、また、市民と協働したい科学者、学識経験者法律家、政府関係者などを招き、

2010年4月20日-22日、ボリビアコチャバンバにおいて「気候変動とマザーアース(母なる地球)の権利に関する世界民衆会議」を開催する。

「気候変動とマザーアース(母なる地球)の権利に関する世界民衆会議」の目的は以下のとおり

1)気候変動を引き起こす構造やシステムを分析し、すべての人類が自然と調和して「よき人生」を送ることを確かなものとするラジカルな手段を提案する。

2)「マザーアースの権利世界宣言」プロジェクトに関する議論と合意形成

3)国連気候変動枠組内での、京都プロトコルへの新たなコミットメントやCOP決定のためのプロジェクト提案に関する合意形成。
これらは、気候変動に関する協議や国連における各交渉に誠意を持って参加する、すべての国のこれからの政策のガイドラインとなる。

協議されるのは以下の各ポイント;

−気候債務
−気候変動移民−難民
−排出削減
−適応
−技術移転
−資金
−森林と気候変動
−共有ビジョン
−先住民
−その他

4)気候変動に関する世界民衆直接投票の組織化に関する作業

5)気候正義法廷に設立を進めるアクションプランの分析と策定

6)気候変動から生命を守り、またマザーアースの権利を擁護する行動や大衆動員戦略の確定

2010年1月5日ボリビア

エボ・モラレス・アヤマ
ボリビア多民族国家大統領

(翻訳:大倉純子)



(関連情報サイト:「クライメート・ジャスティス」とは何か、「気候債務」とは何か、ボリビアエボ・モラレス大統領の主張などを理解するためのサイトです)


■先進国は援助ではなく「気候債務」を返済せよ(「DemocracyNow! Japan」の動画)
http://democracynow.jp/submov/20091209-45


COP15で、先進国に対し気候変動被害の正当な賠償を求める動きの先頭に立つのがボリビアです。2期目に入ったモラレス大統領は先進国は「気候債務」を負っていると批判し、汚染国に環境被害の賠償を求めました。人類の共有財である大気圏を先進国が過剰に消費したため、途上国では干ばつや洪水の被害が増え、国民総生産の大きな部分が消えて行きます。この損害に対する賠償が「気候債務」です。途上国は援助ではなく、先進国が義務を遂行し債務を返済するよう求めているのです」(「DemocracyNow! Japan」の解説より一部抜粋)

ゲスト

アンヘリカ・ナバロ(Angelica Navarro)
ボリビアの気候会議交渉団代表

ミゲル・ロベラ(Miguel Lovera)
パラグアイの気候会議交渉団代表


以下は、いずれもジュビリー九州の大倉純子さんのブログ「カネなら返さん」の記事


①クライメート・レイジ(ナオミ・クライン)−なぜ「気候債務」の承認が気候変動問題解決にとって決定的に重要なのかを明快に解説している

http://writeoff.blog.shinobi.jp/Entry/37/

なお、ナオミ・クラインの以上の主張は「DemocracyNow! Japan」の動画でも見ることができます

■ナオミ・クライン 地球の運命は「気候正義」を求める大衆運動にかかっている

http://democracynow.jp/submov/091211-2

「世界各地から結集した活動家たちは、コペンハーゲン市内でCOP15に対抗する市民気候サミット「クリマフォーラム」を連日開催していました。12月10日夜には『ショックドクトリン』の著者ナオミ・クラインがパネリストとして参加し、満員の聴衆を前に、気候債務の返済を先進国に迫る「気候正義」(クライメット・ジャスティス)の要求について熱く語りました」(「DemocracyNow! Japan」の解説より一部抜粋)

■Naomi Klein on Climate Debt: Why Rich Countries Should Pay Reparations To Poor Countries For The Climate Crisis.

http://www.democracynow.org/2009/11/23/naomi_klein_on_climate_debt_why

②私たちは“施し”を乞うているのではない  産業先進国は“気候債務”を返済せよ!(COP15に向けて「第三世界ネットワーク」が呼び掛けた共同書簡)

http://writeoff.blog.shinobi.jp/Entry/35/

③「日本訳:ブリーフィング・ペーパー 気候債務:その理解のために」(第三世界ネットワーク)

http://file.writeoff.blog.shinobi.jp/c0a10a67.doc

COP15におけるボリビア多民族国提案

http://writeoff.blog.shinobi.jp/Entry/39/

エボ・モラレスの「地球を救うための10の掟」

http://writeoff.blog.shinobi.jp/Entry/23/


以下は、「ピープルズ・プラン研究所」のサイトに掲載された論説(翻訳)記事です(一部抜粋)。モラレス大統領の目指しているものが何なのか、極めて明瞭に語られています。ぜひ、全文をご一読下さい

⑥モラレス大統領「地球を救うには、資本主義を終わらせよ」サイモン・バトラー
2009年5月9日

http://www.peoples-plan.org/jp/modules/article/index.php?content_id=12

「4月22日、ボリビアエボ・モラレス大統領はニューヨークで特別記者会見を開いた。国連総会は、この日を「母なる地球の日」にしようという、このラディカルで貧民の側に立つボリビア政府の提案を受け入れていた」

「11月の演説で彼はあけすけに言った。「気候変動はすべての人類にとてつもなく大きな選択を迫っている。資本主義の道をこのまま選んで死ぬか、自然と調和する道を選択してすべてのいのちを大切にする方向に進むか。地球はウォール街や世界の株取引よりも大切だ」」

「気候変動に大きな責任を有している工業化された諸国は、「エコ負債(ecological debt)」を「南」の国や人へ支払わなければならない」

「この破滅的な資本主義のオルタナティブとしてモラレスが提案しているのは21世紀の「共同体的社会主義(communitarian socialism)」だ。そこでは、資本主義の「もっともっといい生活(living better)」という発想ではなく、「健全な生活(living well)」がゴールになる」

「モラレスはいう。「私たちにとって、間違っていたのは『もっともっといい暮らしを』というモデルだ。それは無限の開発、際限のない工業化、歴史を軽視する近代化、他者と自然の犠牲のうえの財の蓄積、というようなモデルだ。だから私たちは、他者や母なる地球と調和の取れた『健全な生活(living well)』という考え方を提案する」」

[翻訳:つるたまさひで]


ボリビア大統領エボ・モラレスに聞く 少数民族の権利、気候変動、イラク情勢、イランとの国交樹立、チェ・ゲバラの功績(「DemocracyNow! Japan」の動画)
http://democracynow.jp/submov/20070926-1

ゲスト:エボ・モラレス大統領(President Evo Morales)

ボリビア初の先住民族出身の大統領。2005年に大統領に当選。石油や天然ガスの国有化などを進め、60年間続いたボリビア財政赤字を黒字転換し、10億ドル未満だった外貨準備金を50億ドルまで引き上げるなど、経済的成果も上げた。コカインに加工する前のコカの葉は無害で、先住民族の文化では重要な嗜好品なのに、コカ栽培を犯罪扱いしようとする米国などの動きに反発。2006年の初めての国連演説で、そのことをアピールして話題を呼んだ。貧困層の生活向上につとめ、人口の92%をしめる先住民族の地位向上をめざした政策に、数多く取り組んでいる」(「DemocracyNow! Japan」の解説より一部抜粋)