【「クリスチャントゥデイ」紙】気候変動への責任ある対策を行う最後の機会-WCC(世界教会協議会)が呼びかけ COP17、貧困者と創造物の側に立った働きかけが必要

【「クリスチャントゥデイ」紙】気候変動への責任ある対策を行う最後の機会-WCC(世界教会協議会)が呼びかけ
COP17、貧困者と創造物の側に立った働きかけが必要
http://www.christiantoday.co.jp/article/3793.html

2011年11月25日10時15分



2009年コペンハーゲンの気候変動会議で講演したトゥヴェイト総幹事(写真提供:WCC)


 南アフリカダーバンで、28日から12月10日まで、第17回気候変動枠組条約締約国会議(COP17)が開催される。開催に先駆け、世界教会協議会(WCC)のオラフ・フィクセ・トゥヴェイト総幹事は、世界諸教会が目に見える形で気候変動問題対策、特に気候変動で生活に多大な影響を受ける土着民族の側に立って訴えていくことを強く勧めている。

 トゥヴェイト総幹事は2009年にデンマーク首都コペンハーゲンで開かれた気候変動と創造におけるセミナーで「気候変動問題は道徳的・精神的な危機に結びついている」ことについて言及していた。

 トゥヴェイト総幹事は今回のCOP17は国連が「国際共同体として気候変動問題のための責任ある対応を行うことのできる最後の機会である」と訴えており、今回の会議で良い結果を出すことができるように、信仰共同体が強く働きかけて行くことを促進している。

 トゥヴェイト総幹事は声明文で、「1970年代の初めから、WCCは持続可能な共同体作りを提唱してきました。今日において、二酸化炭素排出エネルギーへの依存度を下げる必要はより増してきています。持続可能な再生エネルギーを用いた生活に転換することは、必ずなされなければならないことです。諸教会および諸宗教共同体は、それぞれ気候変動が地域の人々や家畜の生活さらには創造主によって創られた地球全体にどのように影響しているかを観察しています。人々の権利は脅かされ、地球環境は破壊されています。すべての創造物がうめき苦しんでいます」と警告した。

 またこれまでのWCC加盟諸教会への訪問を通じて、「世界中あらゆる地域のWCC加盟教会を訪問した結果、気候変動問題に対して信仰共同体がどのようにその変化を監視し、改善していくための働きかけをしていくことができるかを実感することができるようになりました。たとえば、今年9月にサモアで行われた太平洋教会協議会(PCC)の50周年記念式典に出席した際、同地域が海水面の上昇という問題に脅かされていることを明確に実感することができました。気候変動により海水面が上昇しており、この問題について諸教会が地域ぐるみで対策に乗り出しています。数週間前にツバルのWCC加盟教会が、飲用水不足の深刻な危機に見舞われている状態の中で、対策に乗り出していることを知りました」と述べた。

 気候変動問題に対する国際共同体の取り組み強化について、「国際的なレベルにおきましても、国際法が気候変動対策により効率的に取り組めるように修正されるべきことは明確な課題といえます。各国政府や共同体が共に気候変動問題に対して公正な取り組みを行うことで、世界規模で気候変動問題に対する十分な取り組みを行って行く必要があります。2009年コペンハーゲンで行われたCOP15では、私も発表する機会があったのですが、気候変動対策のために十分に対応しきれた会議とは成り得ませんでした。昨年のメキシコカンクンで行われたCOP16では、各国政府が気候変動問題に関する国際交渉を行うことで合意しましたが、それでもまだ十分とは言えないものでした。今年のダーバンでのCOP17は、国際共同体が気候変動問題に対する責任ある対応を行う最後の機会といえるかもしれません。責任ある取り組みを国際共同体が行っていくためにも、COP17では現在に至るまで地球温暖化ガスの排出規制を法的に定めた唯一の議定書である京都議定書の第二約束期間の設定を守り、2015年までに温暖化ガスの排出を法的に規制する国際交渉の結論を出し、気候変動枠組条約(UNFCC)の原則、それぞれの地域・国家の責任や許容能力に応じて、法的な拘束を強化する長期的かつ協力的な具体的な行動を起こしていかなければなりません。またグリーン気候基金(GCF)を現実に機能するようにさせ、カンクンでの会議でなされた約束を現実化できるようにさせ、気候変動で著しい影響を受けている地域社会の生活を実際に改善していけるようにしていかなければなりません」と述べた。

 世界諸教会、および他の信仰共同体に対し、「地球と地球に住む創造物はもはや待ちきれない状態にあります。WCC加盟諸教会、すべてのエキュメニカル運動に関わる皆様、他の信仰共同体の皆様が共に祈り、貧困者のため、創造物のために声を発して行くことを願っています」と呼びかけている。


【「クリスチャントゥデイ」紙】気候変動問題に、倫理的な視点を-WCC
神様の創造物に対する人間の責任が失われていないか?
http://www.christiantoday.co.jp/article/3512.html

2011年09月26日10時54分



気候変動問題における倫理的視点を提唱するナフィサ・ディソウザ氏(写真提供:WCC)


 20日、WCCは、スイスジュネーヴの気候変動・環境・人権問題における宗教間フォーラム、ドイツ人権フォーラムおよびユナイテッド福音ミッション(VEM)と合同で気候変動と人権問題について「信仰と倫理的視点の隙間を埋める」ことに関する会議を開催した。インドの土着民族の人権と気候変動の問題のために取り組む組織レイヤ・リゾース・センターのエグゼクティブディレクターを務めるナフィサ・ディソウザ氏は、同会議において、「信仰を基盤とした各組織が、気候変動で被害を受ける社会の片隅に追いやられているエコシステムに依存した環境で生活する人々に対する懸念を示し、この問題が世界フォーラムの主要課題として取り上げられるように促していくことが必要である」と提唱している。

 気候変動問題においては、科学者らがそのメカニズムの解明や観測に取り組み、各国指導者らが経済大国を中心とした気候変動問題対策に取り組む中、もっとも深刻な被害を受けている経済に依存しない生活を送る社会的弱者にある人々に対する影響が見過ごされがちになっている。この点について、信仰団体が倫理的視点をより強く提唱していくべきであることが同会議において強調された。

 ディソウザ氏は、「地球から私たちが奪ったものが原因となって地球の一部を破壊しています。倫理的な懸念というのは、神様が創造された創造物に対する責任が私たちすべてから失われてしまっているのではないかという懸念です。二極化された世界、力の不均衡が生じている社会において、信仰を基盤とした組織が気候変動における議論により関与していき、倫理的な影響を与えるようになることが必要です」と述べた。

 ディソウザ氏は気候変動問題において、信仰を基盤とする組織は「人々を保護する」立場で倫理的視点を提供していくことが大切であるとし、「諸教会および信仰を基盤とした組織は、宗教的な概念をより広範な倫理的視点に関連させていくことが必要です。宗教活動はそれ自体がグローバルな活動であり、現実問題として、気候変動で最も被害を受けている弱者を保護できる活動でなければなりません。WCCは気候変動問題で倫理的な視点を提供することでこれらの人々を守る活動を行っています」と述べた。

 ディソウザ氏の視点は、WCC気候変動プログラムエグゼクティブのギラーモ・カーバー博士も支持し、「教会と信仰団体は気候変動におけるあらゆる影響や問題について認識できなければなりません。気候変動はもっとも社会的に弱い立場にある人たちに影響を与えています。特に(経済生活ではなく)地球の自然環境そのものに極度に依存した自然の中で生きる人々の生活と気候変動問題は深刻なつながりがあります。さらにこのような生活を送る人々は、気候変動の原因となる活動をしていると考えられるもっとも最後に来る人たちであり、気候変動問題と倫理問題が関連していることは明確であることに気づかなければなりません」と述べた。他にも会議に参加したパネリストたちから、気候変動と人権に関するさまざまな視点が提供された。

 11月28日から12月9日にわたって南アフリカ共和国ダーバンにおいて、第17回気候変動枠組条約締約国会議(COP17)が開催される。諸教会および信仰団体は、同会議において強い倫理的視点が提供できるように準備を促進させている。


【「クリスチャントゥデイ」紙】人類と創造物の関係修復の試み「エコ神学」に向けて
http://www.christiantoday.co.jp/article/147.html

2011年03月31日20時08分



議長として京都議定書をまとめたラウル・エストラーダ氏が気候変動の国際的枠組について言及している(写真提供:WCC)。


 世界で気候変動が生じており、それはときに劇的で予想もしないような驚くべき現象を見せている。神様の創造物として栄光と美を反映しようとする信仰を持つクリスチャンにとって、現代における急激な気候変動は何を意味するのだろうか。気候変動によって神様の創造物が破壊され、地球環境が修復できないほどに変化させられている状況に、クリスチャンはどう向き合うべきだろうか。諸教会が現在気候変動について神学的な反映を行っていることは、急激な気候や生態系の変化に対応する準備が整えられたものとなっているだろうか。

 この様な疑問が反映され、3月28日から29日にかけてブエノスアイレスの神学校ISEDETにて「クリスチャンの信仰とエコロジー-エコ・エキュメニカル神学に向けて」というセミナーが行われ、アルゼンチンの諸教会が参加した。

 このセミナーはISEDET、非政府のアルゼンチンを拠点とした地域活性化団体、世界学生キリスト教連盟(WSCF)ラテンアメリカおよびカリブ地区がスポンサーとなり、世界教会協議会(WCC)およびカナダユナイテッドチャーチ(UCC)によって支援された。


 〜自然に対する緊急の懸念〜

 セミナーではアルゼンチンの生物学者ルフレッド・サリビアン博士が「気候変動は非常に急速に生じており、予想以上の惨事をもたらしている。私たちはこの気候変化を親の世代、祖父母の世代と比べているのではなく、ほんの20年・10年・5年前と比べているのである」と警告し、神学の接頭辞として「エコ」を置くことを提案した。

 「エコ神学」では、自然への避けることのできない緊急な課題を神学に反映させようとしている。サリビアン博士は「イエスキリストによってなされた贖いには双方向性があることを見逃してはならない。創造主と人類の関係を回復させたという側面においては、キリストの贖いは垂直的なものである。しかし、私たちはもう一つの、人類と他の創造物の間の痛んだ関係性を癒されたという水平的な側面について見落としがちである」と指摘した。

 サリビアン博士は今こそラテンアメリカ神学を更新する時であると指摘し、エコ神学は創造物を管理する立場を任された人類にとっての「創造」「キリスト」「人類」および「エキュメニズム」の意味合いを改めて問い直すものとなるだろうと述べた。

 京都議定書を発行する際の京都会議議長を務めた元外交官のラウル・エストラーダ氏は今回のセミナーにおける気候変動のテーマと関連付けた国際的枠組みについて言及した。
 
 〜神学と政治〜

 エストラーダ氏は神学者と政治家が相互に理解し合えていないことがダメージとなっていると警告し、「神学者が政治の世界で何が起こっているのか理解しようとしなければ、政治の腐敗について干渉するのは難しいだろう。WCCの教会員から多くの人が環境問題に関する国際的な会議に参加している。WCCは神学的に倫理的な側面について提案しているのであれば、交渉事の最終結果により大きな影響を及ぼすために実際に交渉を行っている政治家たちにより強く提唱していくべきではないだろうか」と述べた。

 サリビアン博士は「私たちクリスチャンは数年前に、資源の利用や創造物への配慮という社会道徳問題について警告していく責任があることを強調した。このコンセプトは現在に至っても主要な学校で自然保護よりも経済が優先されて教えられていることに反することである。経済が自然保護に優先することが多くの人々にとって抑圧となっており、自然と人間との関係を破壊している」と指摘した。

 ラテンアメリカ神学を再考する必要があることが再度強調され、WCC気候変動プログラムエグゼクティブのギラーモ・カーバー氏は神学における気候変動の主たる影響のひとつとして、創造物に対する神学的理解を更新する必要があることを指摘し「創造の段階における人類の立場はどこにあったのだろうか。他の創造物とどのような関係を築くべきであると望まれているのだろうか。エコロジーと関連付けた神学の認識論的な変化がなされる必要があるだろう」と述べた。

 〜地球との平和〜

 今回のセミナーでは暴力、平和構築および創造物への配慮についての関係性を説明する試みがなされた。ジャマイカで5月17日から25日まで行われる国際エキュメニカル平和会議(IEPC)では「地球との平和」が主たるテーマのひとつとして掲げられている。

 今回のアルゼンチンでのセミナーからは気候変動に起因する環境問題には経済的、政治的、および精神的な問題が含まれていることを認識しようとする総体的な試みが行われた気候変動による影響では、女性や貧困者、土着民族などの社会的立場の弱い人々に対する影響と正義の問題も言及された。
 
 カーバー氏は、「聖書の中核となるテーマは正義であることを認識しなければならない。聖書に示される神は正義を行われる義の神である。それゆえに、私たちは神学の中に『エコ(環境に対する)正義』という課題も含めなければならないだろう」と述べた。

 アルゼンチンにおけるWCCとその諸教会教会員がエコロジーと神学の対話を行う会議は、過去において、1974年に「人類と人類を取り巻く環境」というテーマで、1990年には「危機、エコロジーと社会正義」というテーマでそれぞれセミナーが行われていた。両方ともISEDETによって催された。


【「クリスチャントゥデイ」紙】WCC、気候変動被害による人権擁護を訴える
http://www.christiantoday.co.jp/article/7.html

2011年03月03日10時16分

 世界教会協議会(WCC)は2日、国際連合人権理事会に対し、25の宗教・慈善団体らとともに書簡を送り、気候変動を調査する特別報告者を任命するように要求したことを声明文で発表した。気候変動に対する調査の目的は「気候変動が人権に及ぼす悪影響」を明らかにすることであり、さらなる国際団体による気候変動対策を促進することにあるという。

 WCC気候変動プログラムエグゼクティブのギラーモ・カーバー氏は「気候変動と正義はWCCの気候変動対策の中核となる問題であり、気候変動で災害が生じているアフリカ、アジア、太平洋およびカリブ諸国の弱い人々の人権の保護および強化の道を模索しています。WCCは気候変動が人権に影響を与えることをはっきりと言明しています。2009年12月コペンハーゲンで行われたCOP15(第15回気候変動枠組条約締約国会議)終了後、私たちにとってこの問題が明らかになりました。気候変動と人権に対する特別な調査・手続きを行うことで、これらの災害による被害を受ける弱き人々を保護する道が開けるものであると信じています」と述べている。

 国連人権理事会への書簡では、2011年6月に開かれる理事会で何らかの気候変動と人権に関する行動を取ることが呼びかけられている。